和歌山市の一級技能士が語る手仕事と機械製作の違い
和歌山市を拠点に、岩出市・紀の川市・海南市・阪南市・泉南・有田方面で、畳の新調・表替え、ふすま・障子・網戸工事を行っている一級技能士の小笠原です。(^^)♪
「手と機械で作る違い」
これ、畳屋としてはめちゃくちゃ大事な話です。
最近の小笠原畳ふすま店では、KLASSの畳製造機械や、へりなし畳用の機械、両框裁断機など、いろいろな設備を紹介してきました。
そうすると、もしかしたらこう思う方もいるかもしれません。
「機械で作るなら、職人の腕って関係あるの?」
「昔ながらの手仕事とは違うの?」
「一級技能士って、実際どれぐらい意味があるの?」
結論から言います。
手仕事ができる職人だからこそ、機械も正しく使えます。
機械は便利です。
精度も出ます。
作業も早くなります。
でも、機械が勝手に良い畳を作ってくれるわけではありません。
どこを測るか。
どこを逃がすか。
どこを締めるか。
どの材料を使うか。
仕上がりをどう見極めるか。
そこは今でも職人の仕事です。
一級畳製作技能士とは何か
まず、一級技能士について少し説明します。
私が持っているのは、畳製作の一級技能士です。正確に言うと、厚生労働省の技能検定制度にある「畳製作職種」に関する資格です。
厚生労働省は、技能検定を「働くうえで身につける、または必要とされる技能の習得レベルを評価する国家検定制度」と説明しています。試験に合格すると合格証書が交付され、「技能士」と名乗ることができます。
また、技能検定には実技試験と学科試験があります。中央職業能力開発協会の案内でも、試験は検定職種ごとに実技試験と学科試験が行われると説明されています。
これが、なかなか大変でした。
正直、簡単ではありません。
実技も難しい。
学科も難しい。
時間も限られている。
仕上がりも見られる。
知識も問われる。
「普段仕事してるから余裕やろ」と思うかもしれませんが、試験は試験で別の緊張感があります。
普段の現場なら、現場に合わせて考えながら進めます。
でも試験では、決められた条件、決められた時間、決められた基準の中で、正確に仕上げる必要があります。
あれは本当に苦労しました。
でも、その苦労があったからこそ、今の仕事にも活きています。
手仕事で作る畳の良さ
畳の手仕事には、機械にはない良さがあります。
たとえば、手縫い。
畳を手で縫う作業は、ただ針と糸を通すだけではありません。
力加減、糸の締め方、針の角度、畳表や畳床の状態を見ながら進めます。
特に、紋縁の畳、寺社仏閣の畳、炉畳、床の間の薄べりなどは、機械だけでは説明できない世界があります。
私は、手縫いもできます。
床の間に使う薄べり、いわゆる床の間のござも手縫いできます。
これ、地味に見えてかなり神経を使います。
薄べりは、普通の畳よりもごまかしがききません。
床の間は家の中でも目につく場所です。
そこに敷くものなので、曲がり、たるみ、縫い目、角の納まりが気になります。
「まあこれぐらいでええか」ができない仕事です。
手仕事は時間がかかります。
効率だけで見れば、機械には勝てません。
でも、手仕事を知っているからこそ、畳の構造や材料のクセ、納まりの考え方が体に入ります。
ここが大事です。
機械で作る畳の良さ
一方で、機械で作る畳にも大きな良さがあります。
それは、精度と安定性です。
現代の畳工事では、昔ながらの厚い畳だけではありません。
薄畳。
へりなし畳。
半畳市松敷き。
ダイケン和紙表。
セキスイ美草。
国産い草。
樹脂表。
リビング横の畳コーナー。
新築住宅の畳。
宿泊施設や飲食店の畳。
畳の種類も、現場の条件も増えています。
そこで機械の力が必要になります。
機械を使うことで、寸法の安定、裁断の正確さ、折り曲げの均一さ、仕上がりの再現性が高まります。
特に、へりなし畳や薄畳はかなりシビアです。
少しのズレ。
少しのふくらみ。
少しの角の甘さ。
これが仕上がりに出ます。
お客様から見ても、へりなし畳は見た目がシンプルです。
でも、シンプルなものほど難しいです。
余計なものがないぶん、粗が見えます。
だからこそ、KLASSのような畳製造機械を使いながら、安定した仕上がりを目指しています。KLASS株式会社は畳製造機械を扱うメーカーで、畳業界の機械設備を支える会社のひとつです。
手仕事と機械、どちらが上なのか
ここはよく勘違いされるところですが、
手仕事と機械は、どちらが上という話ではありません。
手仕事には手仕事の役割があります。
機械には機械の役割があります。
たとえば、手仕事は特殊な納まりや細かい調整に強いです。
寺社仏閣の畳。
床の間の薄べり。
炉畳。
紋縁。
古い家のクセが強い和室。
建物が少し歪んでいる部屋。
こういう現場では、職人の目と手が必要です。
一方で、機械は正確に同じ作業を安定して行うことに強いです。
新調畳。
表替え。
薄畳。
へりなし畳。
枚数の多い現場。
短納期が必要な現場。
こういう場合は、機械を使うことで品質を安定させやすくなります。
つまり、正解はこれです。
手仕事を知っている職人が、機械を使う。
これが一番強いと思っています。
機械だけでは良い畳にならない理由
機械が良くても、採寸が悪ければ畳は合いません。
機械が良くても、材料選びを間違えれば長持ちしません。
機械が良くても、現場のクセを読めなければ納まりません。
ここははっきり言います。
畳は、機械に入れたら勝手に完成する商品ではありません。
部屋の寸法を測る。
畳の割付を考える。
敷居や畳寄せのクセを見る。
柱の倒れを見る。
既存の畳の傷みを見る。
畳表の種類を選ぶ。
畳床の厚みを考える。
納品時に微調整する。
この全部が畳屋の仕事です。
機械は、その判断を形にするための道具です。
だから、機械を導入しているからといって、職人の仕事がなくなるわけではありません。
むしろ逆です。
機械の性能が上がるほど、それを正しく使いこなす知識と経験が必要になります。
一級技能士として大事にしていること
一級技能士を持っているから偉い、と言いたいわけではありません。
資格があるだけで、すべての現場が完璧にできるわけでもありません。
でも、一級技能士を取るために苦労した経験は、今でも大きな土台になっています。
実技試験で求められる正確さ。
学科試験で問われる知識。
限られた時間で仕上げる緊張感。
基準に沿って作る難しさ。
こういう経験をしたからこそ、普段の仕事でも「これでええか」で終わらせたくない気持ちがあります。
畳は、毎日使うものです。
座る。
歩く。
寝転ぶ。
子どもが遊ぶ。
お仏壇の前で手を合わせる。
お茶を飲む。
お客様を迎える。
ただの床材ではありません。
だから、見た目だけでなく、使いやすさ、納まり、材料、耐久性まで考えたいと思っています。
お客様にとって何が違うのか
お客様にとって、手仕事と機械の違いは分かりにくいかもしれません。
正直、完成した畳だけを見て、
「ここは手でこうしてる」
「ここは機械でこうしてる」
と全部分かる方は少ないと思います。
でも、違いは仕上がりや使い心地に出ます。
畳の隙間が少ない。
角がきれい。
段差が少ない。
表面がきれいに張っている。
部屋全体がすっきり見える。
納期に対応しやすい。
特殊な畳でも相談しやすい。
こういうところに出ます。
そして、何かあった時に説明できることも大事です。
なぜこの材料が合うのか。
なぜこの厚みが良いのか。
なぜこの施工方法を選ぶのか。
なぜ手作業が必要なのか。
なぜ機械を使うのか。
ここを説明できる畳屋でありたいと思っています。
小笠原畳ふすま店の考え
小笠原畳ふすま店では、昔ながらの手仕事も大切にしています。
手縫い。
薄べり。
寺社仏閣や茶室の畳。
紋縁。
現場での細かい調整。
こういう仕事は、これからも大切にしていきます。
一方で、現代の畳工事に対応するため、機械設備も導入しています。
へりなし畳。
薄畳。
和紙表。
樹脂表。
短納期。
枚数の多い現場。
業者様案件。
こういった仕事には、機械の精度と安定性が必要です。
つまり、当店が目指しているのは、
昔ながらの職人仕事だけの畳屋でもなく、機械任せの畳屋でもありません。
手仕事を知っている。
資格も取っている。
機械も使える。
現場も見られる。
お客様に説明できる。
そういう畳屋でありたいと思っています。
手と機械、どちらか一方ではなく、両方を使い分ける。
それが、今の時代に必要な畳屋の形だと考えています。
畳の新調・表替え・へりなし畳・薄畳・床の間の薄べり・寺社仏閣や茶室の畳などをご検討の方は、こちらからお気軽にご相談ください。小笠原畳ふすま店のお問い合わせフォーム
施工・技術まとめ
- 対応地域:和歌山市・岩出市・紀の川市・海南市・阪南市・泉南・有田方面
- テーマ:手仕事と機械で作る畳の違い
- 資格:一級畳製作技能士
- 技能検定:実技試験と学科試験がある国家検定制度
- 手仕事で対応できる内容:手縫い、床の間の薄べり、紋縁、炉畳、寺社仏閣・茶室の畳
- 機械で安定しやすい内容:新調畳、表替え、へりなし畳、薄畳、枚数の多い現場、短納期対応
- お客様のメリット:仕上がりの安定、正確な寸法、特殊な畳への対応、施工方法の説明ができる
- 職人目線:手仕事を知っているからこそ、機械も正しく使いこなせる
よくある質問
Q. 手縫いの畳と機械で作る畳はどちらが良いですか?
どちらが上というより、現場や畳の種類によって使い分けることが大切です。寺社仏閣、茶室、床の間の薄べり、紋縁などは手仕事の経験が重要です。一方で、へりなし畳や薄畳、枚数の多い現場では機械の精度と安定性が大きな力になります。
Q. 一級畳製作技能士とは何ですか?
畳製作に関する技能検定に合格した技能士です。技能検定は厚生労働省が説明する国家検定制度で、実技試験と学科試験があります。1級は厚生労働大臣名の合格証書が交付される等級です。
Q. 機械を使うと職人の技術は必要なくなりますか?
必要です。機械は正確に加工するための道具ですが、採寸、割付、材料選び、現場のクセの判断、納品時の調整は職人の仕事です。機械の性能を活かすには、職人の経験が必要です。
Q. 床の間の薄べりや手縫いも対応できますか?
対応しています。床の間の薄べりや手縫いの仕事は、見た目以上に細かい判断が必要です。現場の状態や用途に合わせてご相談ください。
